2020

04

14 Tue ~イーストンのウエイトコードにまつわる謎を解き明かそう

こんにちは。新宿店の種部です。
アウトドアシーズンに向けて矢を新調しようと考えたとき、矢を選ぶ時のポイントとはなんでしょう。
軽さ(=スピード)、耐久性、断面密度、価格…いろいろな要素があると思いますが、
「均一性」というのも重要な要素だと思います。

均一性ということを考えた時に思い出したのがイーストンのシャフトのウエイトコードです。
イーストンのACE、X10などの競技用シャフトのハイエンドモデルには、
レーザー刻印でC.4などのアルファベットと数字を組み合わせたマーキングが入っていますね。
実はCで始まるこのマーキングはシャフト重量の分類コードなのですが、
これが意味するものが何なのか、実はよく知られていないのではないでしょうか。
今回は元イーストンの主任エンジニアで、X10シャフトの開発にも携わったジョージ・テクミチョフ氏による、
イーストンのウエイトコードについての解説を紹介します。

イーストンのウエイトコードにまつわる謎を解き明かそう
フィンガーリリースするリカーブボウの場合、スパイン以上に重要な要素はないといえます。
使用する一本一本のシャフトのスパインが全て均一であることが、アローシャフトの集中性の要なのです。
アローシャフトがリカーブボウから射ち出される際の動きを見たら、その理由は一目瞭然ですね。
毎回同じようにグルーピングするためには、全てのアローシャフトが同じたわみ方をしなければなりません。

スパインの重要性
アーチャーのほとんどは「スパインの均一性」がスコアを左右するとなんとなく感じていると思いますが、
それがパフォーマンスに与えている影響の大きさを具体的に知っているアーチャーは少ないかもしれません。
スパインの許容誤差がどれだけスコアに影響を与えるか見極めるテストを行ったことがあります。
その当時(1990年代)のアメリカ代表でオリンピックのメダリスト、デニス・パーカー選手に
6週間にわたってテストしてもらい、70mで1射1射の正確な的中位置を記録してデータを集めました。
使用したアローシャフトの半分は(イーストンの規格で作製された)均一なスパインで作られた製品で、
残りの半分はイーストンの規格に満たない精度の低い規格のスパインで作製されたものでした。
テストに使用したアローシャフトは外見から区別できないようになっており、
デニス・パーカー選手にはどれがどのシャフトか全く分からない状態で射ってもらいました。

2点の差
6週間にわたるテストを終えて記録を分析したところ、12射ごとの合計スコアでみると
均一なアローシャフトとそうでないものとの間には2点の差があることが判明しました。
2点というのは、国際大会やオリンピックのマッチ戦(12射の合計で勝敗を決していたころの)の
約80%のマッチの勝敗を分けたスコアの差です。現在のセットポイント制のマッチ戦でも、
2点の差が勝敗の分かれ目となることは十分考えられます。
それほどスパインの均一性がアーチェリーのパフォーマンスにとっていか重要だということです。

X10、プロツアー、ACE、ACG、などイーストンの競技用アルミニウム/カーボンシャフトには、
C2とかC3等のアルファベットと数字を組み合わせた「ウエイトコード」と呼ばれるものが刻印されています。
この記事の目指すところはウエイトコードとは何か、なぜウエイトコードで分類することが大切なのか、
そしてそれがスパインの均一性とパフォーマンスの向上にどう関わっているのかを解説することです。

アルミニウムとカーボンの素材の特性
まずウエイトコードを理解する上で、アローシャフトを作るための材料について少し知っておいてください。
特にその材料の単位重量当たりの剛性(硬さ)がどう数値化されるかについて知っておく必要があります。
このような材料の性質を数値化するのによく使われるのが、ヤング率あるいは弾性率と呼ばれる数値です。
純粋に均一性だけを考えるなら、アローシャフトの材料としてはアルミニウム合金に勝るものはありません。
アルミニウム合金に関する限り、アローシャフトに加工した際の単位重量当たりの剛性は驚くほど均一です。
シャフトの肉厚、口径(内径および外径)、そして同芯度(シャフトのまっすぐさ)といった数値が均一であれば、
アローシャフトとしての硬さ(スパイン)も均一になります。一本一本のシャフトの数値が同じであれば、
シャフトのスパインの測定値にばらつきが出ることはなく均一性の高い矢がそろうことになります。

アルミニウム合金は非常に安定した弾性率を有しており、生産ロットによる個体差がほとんどありません。
例えばXX75シャフトに使用されているアルミニウム合金の弾性率は10,400,000psiであり、
それが1964年に製造されたものであっても、先週作られものであっても、その材料の単位重量当たりの剛性と
同じサイズのXX75シャフトのスパインは常に同じで矢としては高い均一性を持っているのです。
7075アルミニウム合金はそのくらい単位重量当たりの剛性の値が均一で、
それこそがアルミニウム合金という材料の最大の特性でもあります。
ところがカーボンの場合はそう簡単ではありません。現在流通しているカーボン繊維の場合、
単位重量当たりの剛性は+/-2,000,000psiのばらつきがあるのですが、
この差異は競技用の矢を作製することを考えると見過ごせないくらい大きいものなのです。
例えばカーボンアローの上位モデルに使用される一般的なカーボン繊維の弾性率が46,000,000だとすると、
矢のメーカーが材料に元々含まれているばらつきをコントロールする手間を惜しむと、
弾性率のばらつきは44,000,000から48,000,000の範囲まで広がってしまいます。
この誤差は矢にとっては非常に大きいものです。

さらにカーボン繊維を矢の素材として一体のものにするのに使われるエポキシ接着剤や
その他のポリマー樹脂によっても、個体差が生じてしまいます。
カーボンに含まれる樹脂の割合は厳格な精度で管理されなければ、
「体積弾性率」が均一なカーボン材料を作ることはできません。
体積弾性率は、カーボンとエポキシ等のように2種類の材料を組み合わせた材料、
すなわち一般的なカーボンコンポジット素材の剛性の目安としてもちいられます。
しかし樹脂とカーボン繊維の比率は製造行程や素材そのものの誤差の影響を受けます。
アローシャフトの作製を開始した時点での素材の鮮度すらも、
出来上がった製品の剛性を大きく左右することが起こりうるのです。
それは製造行程で生じてしまう誤差によりさらに拡大されてしまうおそれがあります。

要素のどれかひとつでもばらつきがあると、製品としてのアローシャフトの硬さに大きな影響が出ます。
いくつかの要素のばらつきが重なりあうと、完成品のスパインの均一性が大きく損なわれてしまいますが、
実際に市場に流通している製品の中にはそのくらいスパインが均一でないものも見受けられます。
体積弾性率の均一性はアローシャフトの精度にとって非常に重要なものなので、
イーストンでは材料や製造行程に由来するばらつきを最小限にとどめるための特別な対策を講じています。
まず、イーストンはカーボン繊維メーカーと直接取引をすることにより、
シャフトの製造に必要な形状にした時に剛性の均一性が最も高い、厳選された素材を仕入れることが可能です。
最高のカーボン繊維メーカーから供給される厳選された材料のみを使用し、
さらに材料が加工行程に流れる際にも検査することによって、
カーボン素材のばらつきを最小限に抑えることが可能になっています。

もうひとつの重要な要素は、アローシャフトの製作行程…超高精度のアルミニウムコアの製造、
カーボンを巻き付ける下処理から接着乾燥、機械加工、曲がり修正、その他の仕上げ作業に至るまで…
をユタ州ソルトレークにあるイーストンの自社工場内で行っているという点です。
この一貫生産体制により、「均一なシャフト」の生産のために欠かせない製造行程の様々な要素を
コントロールしているのです。
しかし、最高品質のカーボン繊維材料を使用し、製造過程の不確定要素をきめ細かく管理していたとしても、
カーボンシャフトの加工後のばらつきを完全に排除することは難しいのですが、
この問題に対処する方法は二つあります。

均一なスパインのための課題
一つ目の方法はアローシャフトの完成時の重量を均一にすることを優先し、
スパインの数値のばらつきには目をつぶるというもの。
この製法ではこの記事の冒頭で取り上げたようなパフォーマンスの問題をかかえることになります。
二つ目の方法は、(特にリカーブアーチャーにとって)最も大切な要素「スパイン」を優先するというもの。
そこでウエイトコードの登場です。
イーストンでは一本一本のシャフトを決められた通りのスパインになるように正確に加工し、
その後でもうひと手間かけて個々のシャフトの重量を計り、重さに応じてグループ分けしています。
すなわちウエイトコード毎に分類する作業を行っているのです。

ウエイトコードの解説

X10のシャフトには写真のように906 A/C/X10・410・SERIES Aなどとマーキングされています。
「906」はアルミニウムコアのサイズを表しており、最初の一桁が外形、残りの二桁が肉厚を表しています。
906とは外径が9/64インチでシャフトの肉厚が0.006インチであることを示しています。
ちなみに全てのサイズ(スパイン)のX10シャフトには同じ906サイズのアルミコアが使用されています。

A/C/X10は言うまでもなくモデル名でアルミニウム/カーボン/X10。
410はスパインの硬さを表しており、ATA(アメリカのアーチェリー業者団体)の規格で
過重をかけた時のシャフトのたわみ量が0.410インチであることを示しています。

SERIES Aはそのサイズ(スパイン)のモデルの仕様変更の履歴を表しており、
長年にわたり製産されている間に供給される素材やその他の仕様に何らかの変更が加えられた場合、
別のシリーズコードが割り振られます。
シリーズの変更はごくまれ(10年に一度あるかないか)で、しかもアローの性能にはほとんど関係ないので
(異なるシリーズのシャフトを)混ぜて射ってもグルーピングに影響は出ることはほとんどありません。

レーサー刻印されているのがシリアルナンバー(生産ロットを識別するためのもの)とウエイトコードです。
写真のX10の場合、ウエイトコードはC2と表記されているのが見えます。
イーストンでは何千本ものシャフトが造られる生産ロット毎に、終的なスパインチェックが終わった段階で
全てのシャフトを個々に重量を計測して重量分布のチャートを作成しています。
グラフにするとちょうど釣り鐘型の曲線を描くことになような重量分布になります。

ACEやX10などの競技用モデルのスパインの許容差は(360度全周方向で)+/-0.0015インチ(0.0381ミリ)です。
ひとつのサイズ(スパイン)の一回の生産ロットで製造される何千本ものアローシャフトの最も軽い個体と
最も重い個体の重量の差はおよそ5~6グレイン(0.320~0.384グラム)で、
これらのシャフトが個体差1グレイン(0.064グラム)以内のグループに分けられてそれぞれにウエイトコードが与えられます。
さらに1ダース毎にパッケージされる際には、より精確な重量分布の補正が行われています。
ウエイトコードで管理されている全てのイーストンのプレミアムモデルの競技用シャフト、
ACE、X10、ACGなどの製品の重量分布の範囲は1.5グレイン(0.097グラム)内であり、
販売されている1ダースのパッケージ内のシャフトの重量誤差は+-0.5グレイン(0.032グラム)に収まっています。
ウエイトコードによって管理されていることの利点の一つは、
例えばX10のC.2とC.3のような隣り合った二つの異なるウエイトコードのシャフトを混ぜて射ったとしても、
実際に使用したときにグルーピングに悪影響が出ることはないと数値によって確信が得られるという点です。

イーストンは、エンドユーザーが常にスペック通りのスパインのアローシャフトを手に入れられることを目指して、
矢の精度にとって極めて重要なスパイン(の均一性)のために、他のメーカーがまねできない厳しい生産管理を行っています。
イーストン独自のウエイトコードによる製品管理によって、常に同じスペックのアローシャフトを提供することが可能になっているのです。
ウエイトコードは、今日あなたが買ったアローシャフトと以前に買ったアローシャフトが全く同じスペックであることはもちろん、
あなたが将来買うであろうアローシャフトも同じものが手に入ること保証するためにイーストンが講じている様々な方策のひとつなのです。
イーストンの競技用アルミニウム/カーボンアローが、1984年以降の全てのオリンピックチャンピオンに選ばれている大きな理由は、
こうした様々な努力によって「均一性の高さ」が保証されているからではないでしょうか。

以上ジョージ・テクミチョフ氏による解説でした。難しい部分もありましたが、イーストンの競技用シャフトの精度の高さの裏には
こんな努力があったのですね。今年はアウトドアシーズンはまだ先になりそうですが、こんな時だからこそ
新しい矢をじっくり選んでみては。私はコンパウンドアーチャーですが、50mという距離を考えると「超軽量シャフトで的まで早く到達」
させた方が良いのか、「比重の重いシャフト」の方が良いのか悩みます。70mだったら、コンパウンドでも迷わず比重の重いシャフトを選びますが…

渋谷アーチェリー新宿店ではメールによるご相談も受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。
STAY HOME BE SAFE!


Category: Easton, SHIBUYAアーチェリー, カルノテクニカルノート, 新商品、おすすめ, 注目の記事, 海外
Proshop Blog トップへ

2014

07

09 Wed ~渋谷アーチェリースタッフの弓具紹介第一弾~

みなさん こんにちは


今回から何回かに分けてですが、
渋谷アーチェリースタッフの弓具を紹介して行きたいと思います。
是非参考にしてみてください!

第1回は新宿店スタッフ山本のコンパウンドボウの詳細(7/9現在)です。
(赤字は現在ONLINE店で取り扱いのある商品です。新規取り扱い商品は順次UP予定です。)
弓・HOYT プロコンプエリート
ポンド・59ポンド
引き尺・27.5インチ
カム・スパイラルX#3
ストリング・ファーストストリングX-ITワイヤーセット
サイト・SHIBUYAアルティマCPXカーボンサイト365‐6
スコープ・シュアロック ブラックイーグルスコープ35mm 0.70
ドットシール・ガンスタードットパッケージ レッド
ケーブルガイド・ARCTEC CPRシステムONLINE店近日UP予定)
ケーブルスライド・ファーストストリングテフロンケーブルスライド
レスト・AAE プロブレードレスト
ランチャー・フリークブレードONLINE店近日UP予定)

スタビライザー
センター・ ドインカープラチナムHi-Mod 30インチ
サイド ドインカープラチナムHi-Mod 12インチ
ウエイト
センター・6オンス(421ウエイト)
サイド17オンス(421ウエイト)
アクセサリー
・B-スティンガークイックディスコネクト10°ダウン
・FLEX ターボボタン上下3個
ドインカー ピーウィードインカー


シャフト・イーストン X10 プロツアー470
ポイント・イーストンタングステンポイント120グレイン
ピン・X10プロツアーピン
ノック・イーストン Gピンノック
ベイン・AAE MAXベイン2.0ONLINE店近日UP予定)
アローラップ・ソックスアローラップ

リリーサー
メイン・TRU HTプロ
サブ・TRUアブソリュート

クィーバー
イーストンフィールドクィーバー

ボウケース
・イーストン ダブルローラーボウケースONLINE店近日UP予定)

サングラス
PILLAパンサーX2A
・使用レンズ 42ED・35DC(ブルーレンズ)・60DC(ブルーレンズ)

新宿店スタッフ山本の弓具は参考になりましたか??
良いセッティングとは人それぞれ違いますので、自分にあったセッティングを是非探して下さいね!

現在ONLINE店に無くても新宿店では取り扱いがある商品もある為、気になる商品がある方は
是非新宿店へお問い合わせ下さい。

この道具はどうやって使っているんだ?
なんでこのセッティングなんだ?
など気軽に山本に聞いてみてくださいね。

次回の弓具紹介もお楽しみに~


Category: カルノテクニカルノート, 新宿店
Proshop Blog トップへ

2014

07

04 Fri ~種部が行ってきました~

みなさん こんにちは

7月1日~4日までの期間アメリカナショナルチーム・コーチ、リー・キーシク氏を招いてつま恋で行われた全日本アーチェリー連盟主催の研修合宿に新宿店スタッフ種部が2日~3日の日程で参加してきました。

TOTAL ARCHERYINSIDE ARCHERの2冊の本で解説されているリー・キーシク氏のシューティング理論をみっちり教わるだけでなく、ストレッチバンドを使って実際に自分で体を動かして学とともに参加者でペアを組んでお互いに正しいテクニックができているかどうかコーチングし合うなど、実践的で充実した内容でした。KSL射法そのものも、今まで当たり前と思っていたことと全く違うこともあったり、なかなか刺激的な二日間でした。

特に印象に残ったのは、まずコーチには怪我(特に引き手の肩)をしにくいテクニックを教える責任があるという言葉。リー氏は競技パフォーマンスの向上と同じくらい怪我の予防の重要性を繰り返し強調されていたのが印象的でした。

また、ジュニアやキャデットのナショナルチームメンバーの練習に参加して、リー氏が選手をコーチングするセッションもあり、引き手の肩の痛みを訴える選手、クリッカーを切る時に引き手の肘が下がってしまう選手などへの具体的な対応の仕方を見学する機会もありました。選手にテクニックの改善方法を指導した後、どういうことを変えたのかを選手自身の言葉で説明させることで取り組んでいる課題の理解を深める手法、フォームやテクニックの違いを即座に選手にフィードバックするためにタブレットを活用するなどの取り組みは非常に参考になりました。

写真 V1 Golf リー・キーシク氏も使用しているV1 Golfというアプリは、撮った動画にその場でラインを引いたり、マーキングしたりできるだけでなく、スロー再生したり、二つの画像を並べて同時再生して比較できたりします。現代のアーチェリーコーチの必需品。

写真① リー氏考案のトレーニング用具「KSLゴールド・エリートトレーナー」 ストレッチチューブのようですが、自分の引き尺に合わせて伸びが止まるような仕組みになっています。伸びないものを引っ張ることで、腕の位置関係がつかみやすく、背中のテンションの状態がより感じ取りやすくなります。引尺が設定できるのでコンパウンドのリリーサーの練習にも効果的です。

写真③ 、④KSLゴールド・エリートトレーナーを使って新宿店スタッフの山本にKSL射法を伝授しているところ。

興味のある方は是非新宿店で種部に声をかけて下さい!!
皆様のご来店を心よりお待ちしております!!


Category: お知らせ, カルノテクニカルノート, 新宿店, 注目の記事
Proshop Blog トップへ

2013

11

13 Wed カルノスタビライザーテクニカルノート⑥

第六話 ~最後に~

カルノスタビを開発していく中で、スタビライザーを選ぶ際に
アーチャーの皆さんが比較・参考に出来る目安が作れないか?と思っていろいろ考えてみました。
そして“曲げに対する硬さ”と“軽さ”の比を数値で表したらどうだろうか?と考えました。

このグラフは各社のセンターロッドについて、カーボンパイプの曲げ剛性をスタビライザー全体の重さで割った数値のグラフです。
そのスタビライザーの重さの内の1gが発揮している曲げに対する強さを表します。
これが大きいほど、軽さの割に曲げに対して強いスタビライザー ということになります。
この数値を「Rigidity/Weight Ratio」と勝手に名付けました。
カルノセンターロッドは(1.74)、R社のセンターは(1.35)、Z社は(1.26)、X社は(1.02) になります。
カルノがいかに軽くて強いかが数字でよく分かるかと思います。
(全て当社での試験・測定になります、単位は〔N・m²/g〕)

自動車で「パワー/ウェイト レシオ」という数字があります。
その自動車のエンジンの出力1kwあたりが受け持つ車重を表します。
Rigidity/Weight Ratioがスタビライザーの性能の全てを表す訳ではありませんが、
自動車のパワーウェイトレシオと同じような‘目安’にならないか?と思っています。
そこでまず、シブヤアーチェリーのカルノセンターロッドのRigidity/Weight Ratioは(1.74)であることを発表しておきます。

—————————————————————-
ここまで読んで頂いた皆さん、本当にありがとうございます!
つたない文章で分かり難いところや疑問もあったかと思います。ご容赦下さい。

他の日本の産業と同じく、日本の弓具メーカーにおけるもの作りも円高や新しいメーカーの参入などにより厳しい環境にはあると思います。
また日本の弓具市場は他の市場と比べてもガラパゴスではなく開かれていると感じますし、その中で既に撤退した日本のメーカーもあります。
そんな状況の中、独自に開発した新しい製品をアーチャーの皆さんにお届け出来るのは、大変ありがたいことだと思っております。

スタビライザーの購入をお考えの際には、カルノスタビライザーもご検討の対象に加えて頂けたら幸いです。


Category: カルノテクニカルノート
Proshop Blog トップへ

2013

11

07 Thu カルノスタビライザーテクニカルノート⑤

第五話 ~デザインとカラバリは?~

デザインやカラーバリエーションをどうするか?これは商品としてはとても重要です。
アーチャーの皆さんが、店頭やWeb・雑誌等で見たときの第一印象にすごく関わると思います。
最近のスタビライザーはロゴなどを以前に比べ大きく表示する傾向にあり、色も2~3色使っています。
黒しかないスタビもありますが、4色~5色のバリエーションの物が多いです。

デザインや色合いは技術屋の自分にはよくわからないところでもあります。
そのためスタッフ全員の意見を聞いて進めました。
シブヤのスタッフは普段、沢山のアーチャーの皆さんと接しています。
なのでシブヤのスタッフ一人一人から意見を聞くことで、何百人ものアーチャーの方々の内なる声を聞くことになると考えています。

スタッフへのヒアリングの結果
“ロゴなどはこれまでのモデルより大きく表示し、2色以上のカラーを使いたい。”
“斬新かつ他社に負けない新しい時代のデザインを取り入れたい。”
“弓に付けシューティングラインに並んだたときに「シブヤのスタビだ!」とわかる。”
“カラーバリエーションは少なくとも4色、できれば白も欲しい。”

となりました。これらをデザイナーさんに伝え案をいくつも出してもらいます。
出た案をみんなで見て、どれが良いか?この案のここをこうしたら?などなど自由に話していきます。
デザインのことは十人十色なのでなかなか意見集約されません(笑)
多くの場合、みんなの意見を聞いた上で最後は私が判断します。

最初に決めたデザインはこれでした。

2013年初旬のインドアの試合での展示でご覧になった方もいらっしゃるかと思います。
発売の目処が立っていない製品を展示することはあまりないのですが
展示した結果、アーチャーの方々の直接の意見を聞くことが出来ました。ありがとうございます。
多かった意見は「インパクトがちょっと足りない」でした。そのため検討しゼロからやり直すこととしました。

社外の方からの意見をデザイナーさんに伝え、またいくつも案を出してもらい、それに対し社内で検討し…
最終的にこのデザインになりました。

新デザインは若いスタッフを中心に支持が多かったです。そして新色としてこの黒×ピンクを入れることになりました。

ウエイトは当初この形でした。

このギザギザはローレットといいます。
外れなくなったときにこのギザギザの部分をプライヤーで直接つかんで回すことができ、
またその時キズも付き難いので使い勝手が良いと考えたのですが…
これは「恰好が悪い」との意見が相次ぎボツになりました…残念!

最終的にごく普通の形になりました。

標準装備されるキャップ、フラットのウエイトの他に
オプションとして軽いハーフキャップとフラットライトというウエイトも用意しました。

—————————————————————-
第五話のものすごく短いまとめ
◇見た目の第一印象に関わるデザインは重要、スタッフみんなで検討する!
◇デザインにもアーチャーの皆さんの意見は入っています。
◇やり直したり、ボツになることもある!
—————————————————————-

〔次回 第6話~最後に~ に続く。〕


Category: カルノテクニカルノート
Proshop Blog トップへ

2013

11

05 Tue カルノスタビライザーテクニカルノート④

第四話 ~試作とテストはどうやるの?~

今回、新たにスタビライザーのカーボンパイプを共同で開発して頂くのは
ゴルフクラブ用カーボンシャフトのトップメーカー、“フジクラ コンポジット”さんです。

フジクラコンポジット Webサイト
http://www.fujikurarubber.com/

ゴルフをやる方にとっては改めて説明する必要はないと思いますが、
ゴルフクラブのシャフトの部分の専門メーカーになります。ヘッドは作らず、シャフトのみを作っています。
渋谷アーチェリーと同じく、スポーツ用品のメーカーで、トップ選手が使う道具を作って来た会社です。
そんなフジクラさんにはこちらの要望もよく分かって頂くことが出来ました。
もちろんアーチェリーのスタビライザーはゴルフのシャフトと違うところも多く、
こちらからアーチェリーで必要になる特性を詳しくお伝えしないとなりません。
またカーボンパイプについて我々が知らなかったこともあり、それらを学習しつつ、試作品の詳細を決めていきます。
数回の打合せを経て、試作の詳細内容を決め、最初の試作品が出来上がりました。

材質、DDST構造の厚さが切り替わる位置、などが違う数種類のカーボンパイプを作りました。
別途新規に設計試作したブッシングを接着しスタビの形にして、まず僕自身が射ってみます。
新しいことにチャレンジしているので、この段階でどうしようもなくダメダメな出来のことももちろんあります。
その場合はこれまでの構想・立案を見直し、試作をやり直さないとなりません。
なのでこの瞬間が弓具を開発する中で一番楽しみでもあり、一番不安でもあります。

この時は、イマイチなところもありましたが、まずまずの感触でした、重さも期待通りの軽さになっていました。
社内のスタッフに長期のテストを依頼出来るレベルにはなっているであろうと判断し
当時のスタッフの中から、浅田くん、宮原くん、早川さんにテストを依頼しました。
(全員でテストが出来ると良いのですが、リスクもある試作品を全員分作る訳にもいかないためまずは3人に絞ってテストをします。)

●浅田くんはその経験から沢山ある他社のスタビライザーとの違いを見極めて、試作品のポジションがどのあたりになるのか?といった相対的な評価を
●宮原くん、早川さんにはトップアーチャーとして自身が使用するのに、どういったところが良く、どこが不満か?といった絶対評価を依頼しました。
そして、数種類ある試作品のうち、静かさの尺度ではどういう順番になり、ソリッド感(硬さの感じ)ではどういう順番になるのか?などもレポートしてもらいます。
↓これは2012年8月の写真ですが、宮原くん、早川さん共に試作品を使用しています。
http://shibuya-archery.com/blog_proshop/?p=3152

並行して試作品の実際の曲げ剛性・ねじり剛性がどれくらいか?も調べます。
実射テスト・剛性テストの内容を見て、次の試作を行い、またテストをして…を繰り返していきます。
試作の依頼から量産に至るまで、フジクラさんとは十数回の打合せを行い仕様を詰めていきました。

テストしていく中で、最後まで残った課題が「ソリッド感は充分だが、振動減衰性がちょっと足りない」でした。
内部に振動減衰性のある素材を詰めることも考えましたが、重くなるので違う方法を模索しました。
フジクラさんとも相談したところ
『DDSTで狙っている「根元と先端で硬さを変える」のをもっと進めて「根元にはより強い素材、先端側には少し柔らかい素材をブレンドして硬さの差をより出す」』
ことで解決出来ないか?との案が浮上し、これを盛り込んだ数種類の試作をし、テストを行ったところ性能向上が見られ、期待したレベルに到達しました。
この「センターロッドの根元側に強い素材を、先端側には少し柔らかい素材をブレンドする」ことをVBC(Vari-Blend Carbon)と呼ぶことにしました。
この頃から、テストは3人だけではなくより多くの方に依頼しています。

全部ではありませんが、テストしたセンターロッドの試作品達です。

—————————————————————-

第四話のものすごく短いまとめ
◇カーボンパイプはゴルフクラブ用カーボンシャフトのトップメーカー“フジクラコンポジット”との共同開発。
◇最初の試作品を試す時はかなりドキドキ、その後はスタッフのみんなでテストをする。
◇強い素材と柔軟な素材をブレンドした新たな技術を取り入れた!
—————————————————————-

〔次回 第五話~デザインとカラバリは?~ に続く。〕


Category: カルノテクニカルノート
Proshop Blog トップへ

2013

10

28 Mon カルノスタビライザーテクニカルノート②

第二話 ~ちょうどよい硬さって?~

スタビライザーの硬さが変わると、どんなことが起こるのでしょうか?
アーチャーの皆さんが“硬さ”と聞いたら“矢のスパイン”が真っ先に浮かぶのではないかなぁと思います。
ACEの430と1100を手に取って少し曲げてみれば硬さの違いははっきり分かると思います。
スタビライザーは矢に比べればずいぶん太いので手で曲げてみてもなかなか分かりませんが、
メーカーや種類によって硬さの違いはあります。

この↓動画を見て下さい

2本の針金はスタビライザー、黄色と白のクリップはウェイト、指で弾くのはリリース と思って下さい、
左側の針金の太さは0.5mm、右側は1mmです、右の方が硬いです、
かなり揺れ方が違います、柔らかい方は大きくゆっくりで、硬い方は小さいが速く揺れます。
このモデルは見た目に硬さの違いを分かり易くしているので極端ですが、
柔らかめのスタビと硬めのスタビでも揺れ方の違いはこの動画のような傾向になります。
これだけ見ると硬い方が良さそうに見えますが、過去のテスト結果から、硬すぎるスタビライザーは
振動が逃げてくれないので弓で発生した振動の多くがアーチャー側に伝わってしまうことが分かっています。
この動画のモデルだと下にある金属製の土台を手で持っていたらどんな感じが伝わってくるか?に当たります。

柔らかいと揺れが大きくなる→真っすぐ飛び出す感じは得られ難い
硬すぎるとアーチャーに振動が伝わってくる→フィーリングが悪くなる、弓具へのストレスもかかる

のではないか?と考えました、やっぱり曲げに対するちょうど良い硬さを見つける必要があります。
またもう一つ“ねじれに対する硬さ”も考えないといけません。

さあどうしよう?まずは売られている主なスタビライザーの曲げとねじりに対する硬さを調べることにしました。

とあるスタビ(A)は曲げに対する硬さが(170.3)、ねじりに対する硬さが(36.85)
またあるスタビ(B)は曲げに対する硬さが(126.1)、ねじりに対する硬さが(48.48)
さらに別のスタビ(C)は曲げに対する硬さが(202.8)、ねじりに対する硬さが(10.98)
(全てセンターロッドです)
こんな結果が出ました、数字は大きい方が硬いことを意味します。(実際にはもっとたくさんの種類を調べています)
かなりバラつきがありますが…出てきた数字と、そのスタビを実射テストした結果に基づき
まず最初の希望の数値を決めて試作してみることにしました。

軽くする工夫もしないとなりません
センターロッドはこんな↓断面形状を考えました。

(注:この図は分かり易くするため実際よりもデフォルメされています)
根元側は厚さがあり、当然硬さもあります
途中で斜めの部分がありここで厚さが変化し薄くなります
先端側の薄い部分は厚い部分よりも柔らかくなるのでここがある程度揺れて振動を逃がし
厚い根元側はあまり揺れない、そして全部を厚くするよりも軽く出来る。
そういう狙いです。
これをDDST(Dual Diameter Spine Tuning)と呼ぶことにしました。

センターロッドのちょうど良い硬さは、根元側と先端側で違うのでは?!
がこの時点での予測になります。

—————————————————————-
第二話のものすごく短いまとめ
◇スタビは硬すぎも柔らかすぎも良くない、今あるスタビの硬さを調査した。
◇曲げに対する硬さはもちろん、ねじりに対する硬さも考えよう。
◇センターロッドは“根元は厚く、先端は薄く”し硬さ・軽さ・静かさの3つを狙う!
—————————————————————-

〔次回 第三話~エクステンダーとサイドロッドは?~ に続く。〕


Category: カルノテクニカルノート, 新商品、おすすめ
Proshop Blog トップへ

2013

10

24 Thu カルノスタビライザーテクニカルノート①

第一話 ~どんなスタビが良いのかな?~

ブログをご覧の皆さん、はじめまして、こんにちは!
SHIBUYAオリジナル製品の開発をしている梅澤です。

シブヤのスタビライザーとしては8年ぶりの新作となります、
カルノスタビライザーについて詳しく紹介していきます。
(発売は11/2~となります)

皆さんはどんなスタビライザーがあったら良いな、と思いますか?
自分は「それに換えたら、グルーピングがいきなり良くなる」スタビライザーがあったら良いなぁと思いますが・・・

スタビライザーの役割は(みなさんご存じかとは思いますが)
①〔ドローイング→エイミング→リリースし矢が弦やレストから離れるまで)この間の弓の姿勢を安定させる。
これが第一で、これに加えて最近では
②弓の飛び出しを良くする。
③弓の振動を逃がし、アーチャーが感じる振動を少なくする。

この2つも求められます。

矢が弦やレストから離れてから、スタビが振動し弓が手から飛び出していくので
②と③は的中には直接の関連は無いと思いますが
良い射が出来た時に真っすぐ飛び出す感覚が得やすいスタビライザーであれば
上手に打てた時の感覚が分かり易くなり次の良い射につながります。
振動が少ないスタビライザーであれば何よりフィーリングが良いですし
他の弓具へのストレスが減り、弓具が長持ちするかもしれません。

これらを元に新しいスタビライザーを開発するにあたり、シブヤのスタッフにヒアリングしたところ
“軽くて硬いスタビライザー”
“硬さ感が損なわれない範囲で振動・音が少ない”
“太さ18mm前後のストレートシャフト形状は継承”
“普及しているセンター、Vバー、サイドロッド、エクステンダーの組み合わせスタイルは守る”

こんな意見が多く、この方向で開発を進めることになりました。

軽くて硬いは→弓の姿勢の安定や飛び出しの良さに
振動・音が少ないは→フィーリングの向上と弓具の耐久性に
現在の形状・スタイルの継承は→アーチャーの皆さんの受け入れ易さに
それぞれつながるはずです。

“硬い”といってもどれくらいの硬さが良いのか?
曲げに対する硬さだけで良いのか?ねじれに対しては?
目指す“硬さ”にしたときにどれだけ軽く出来るのか?
軽くするために何か新しい工夫は出来ないか?

こんなことを考えて行くところから開発作業が始まりました。

—————————————————————-
第一話のものすごく短いまとめ
◇スタビライザーは弓の姿勢を安定させるためにある。
◇軽くて硬くてちょっと静かなスタビを目指せば弓が安定し飛び出しも良くなるハズ!
◇じゃあどのくらいの硬さがちょうどいい感じなんだろう?
—————————————————————-

〔次回 第二話~ちょうどよい硬さって?~ に続く。〕


Category: カルノテクニカルノート, 新商品、おすすめ
Proshop Blog トップへ

検 索


profile


recent entries

ONLINE
スタッフブログ

calendar

2020.Jul

«    
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  

recent entries

recent entries