2021

02

17 Wed ~レジェンド、デイブ・カズンズ選手のQ&Aライブ その2

世田谷店の種部です。カズンズ選手のQ&Aの第2部では「エイミング」についての疑問に答えてくれています。
 コンパウンドアーチャーの悩みの中でも、1、2位を争うテーマではないでしょうか。もう一つの悩みはリリーサーの切り方だと思いますが、カズンズ選手によるとエイミングとリリーサーの切り方は密接に関係しているようですね。

デイブ・カズンズ選手Q&A その2
Q:エイミングの話題が出たのでお聞きします。カズンズ選手はサイトの動きを小さく抑えようとするタイプですか、それともサイトが浮遊するままにするタイプですか?もし、サイトの動きを抑えようとするタイプだったら、どうやって抑えていますか?
Dave Cousins(以下Dと表記):何よりもまず、私は「潜在意識で狙う」タイプです。「潜在意識で狙う」タイプというのは、サイトの動きを解釈しません。それはどういうことかというと、サイトの動く方向や速さを変えようとしたり、サイトが的のある部分に止まって動かなかったりしても、サイトの動きを変えるために身体を意識的に動かそうとしないということです。私は(サイトを積極的にコントロールしようとして)「身体的に狙う」タイプではなく、潜在意識で狙うタイプなのです。
 私にとってのエイミングの定義は、ただ「眺めること」です。たとえば、今これを見ている人が画面の角を指さそうとしたとします。その人はただ画面の角を見れば、自然に指先がそこをさしているはずです。考えて指を動かす必要はないですよね、「指を上げて、もっと上、左へ動かして、もっと左、速すぎる、ゆっくり、おっと行き過ぎたから戻して…」といった具合にね。実はそれ(指を上げてとか、左にとか考えて動かすこと)が「身体的に狙う」ということです。それをやってしまうと、私の考えでは、「機会の窓」が開いているうちに、迷いのない「普通の射」をするために必要な身体的な作業をやり通すことを妨げてしまうからね。

 私は「潜在意識で狙う」方が簡単(に良い射ができる)と思っています。これは私がずっとやり続けてきたやり方なので、少し偏見も入っているかもしれません。私がいつも教えているコツがあります。それは実際に弓を引き始める前に、まず頭の中に10点に矢が当たる射のサイトピクチャー(狙っている時に的、ドット、スコープ、ピープサイトがどういう風に見えているか)を思い描くことです。まず10点とはどういうものかちゃんと定義すると、あるいは11点でも12点(NFAAなどの試合の満点)でも構いませんが、とにかくあなたが試合で射つ満点は、それは的上のある一つの点ですか?それともある範囲のことですか?簡単な問題ですね。「10点」というのは一定の面積を持つ範囲のことです。
 ということは、矢のシャフトがその範囲のどこかに少しでも触れてさえいれば、あなたが望むスコア(10点)が得られるのです。これが意味するところは、サイトピクチャーの中で何かが動いていても許されるし認められるということです。(サイトが)動いていてもだいじょうぶなのです。
 重要なのは、サイトピクチャーの微妙なずれを修正して、常に中心に戻って行くことなのですが、誰もが目の働きによって、サイトピクチャーのずれが自然に修正されるようになっているのです。たとえば車を運転する時のことを考えてください、道路の片側、車の右側には側溝や歩道、郵便ポストなどの障害物があり、日本とイギリスの人はその反対をイメージしてください、左側にはセンターラインがあり対向車がいます。運転を覚えたての頃には、運転はすごく神経をすり減らす作業だったと思います。道路の真ん中をキープしようとして道路の両側の障害物を意識したり、対向車や先行する車を意識したりして運転を修正していたと思います。しかし、経験を積むと意識しなくても修正できるようになり、ほとんど無意識に車を運転していますよね。
 (エイミングも)タイプを打つことやスマホの文字入力や、靴ひもを結ぶことを習得するのと変わりありません。コーヒーの入ったカップを口に持ってきて一口飲むのもそうですが、みんな無意識の(潜在意識によってコントロールされている)動作なのです。どんな形でもシューティングスポーツをある程度練習した人は、「潜在意識で狙う」ことをみにつけているはずなので、(潜在意識の働きに)身を任せるだけで良いのです。

潜在意識のエイミングは、箸を使ってご飯を食べるのと同じ?


Q:エイミングについてもう一つ質問が来ています。カズンズ選手はエイミング中にリラックスするタイプですか、それとも積極的にテンションをかけていくタイプですか?
D:私は「抵抗する」タイプですね。強い力をかけて射ちに行くタイプと言ってもいいかもしれません。実際にどうやって射っているか詳細を説明する前に、私の頭なのかがどうなっていて、どういう考え方をしているかちょっと話しておいた方が良いでしょう。
私にとっては、(エイミング中)ただ突っ立って何かが起きるのを待って受け身の状態でいるよりも、リリースするまでに何か身体的に行う作業があって、それをやり遂げるという課題がある方が良いのです。それが私の射に対する考え方です。
 その射をするために必要な抵抗する力は、実はドローイングしてアンカーポイントに引手を持ってくるよりも前に身体の中で形成されています。1本の矢を射つ作業を表すメーターがあると思ってください。数値はあくまでイメージで、実際の力の強さを表しているわけではないことを断っておきますね。仮に、射つのに必要な力のレベルがメーターの針が「10」をさすレベルだとします。私の場合、ドローイングしてきて、引手側をローディングして、アンカーに引手が到達する段階で、力のレベルはメーターの針が11か12ぐらいまで振り切れています。実際にリリースする瞬間に必要な力よりも大きな力を身体に蓄積しておきます。これは何をしているかというと、一つは自分の身体にここまで力を入れてい良いという限界を教えるとともに、タイミングと力の「機会の窓」が開いているうちに射ち切るために十分な力が蓄えられていることを確認しているのです。
 アンカーリングして、ピープとスコープを同心円に並べて、スコープを的の中心に下ろしていきます。サイトを下ろし始めた時に、リリーサーに「エンゲージ」します(リリーサーを切る作業に取り掛かること)。あなたが使っているリリーサーがストラップリリーサーでも、親指トリガーでも、ヒンジリリーサーでも、(どこかのタイミングで)リリーサーにエンゲージする…人さし指、親指、手を動かしてリリーサーを切るためのモーションを始めることが必要なのです。これは必ずしも、最後まで指や手でリリーサーを切るということではありませんが、とにかく身体のどこかを動かして、リリーサーを切るためのモーションをスタートさせなければなりませぬ。これは特にヒンジタイプのリリーサーでは重要です。ヒンジリリーサーはハンドルを回転させない限り発射されません。単純明快な原理に基づいて作られているわけです。(リリーサーを切るためのモーションを)身体を積極的に動かしてスタートすることが良いかどうかについては議論の余地がありますが、私にとっては積極的にリリーサーにエンゲージして、リリーサーを切る最初の動作をスタートさせることで射がうまくいくのです。
 リリーサーにエンゲージしたら、ゆっくり(サイトを)的に合わせます。引手のローディングやリリーサーにエンゲージすることは、(サイトが)ゴールドにつくはるか前の段階で始まっているのです。(サイトが)ゴールドについたら、引手側に蓄積された力のうち、リリースに必要な力を示すメーターの10を超える部分が押手へトランジットされ、押手のドライブに使われます。ドライブというのは、ショットエクスキューションの際に押手をゴールドにキープすることです。サイトが的につくはるか前の段階で、テンションをかけて、伸び合いのための力を入れているわけですが、それには理由があるのです。

 多くのアーチャーは、カムが回りきって「ウォール」に当るところまでドローイングしてサイトを的につけます。そしてエイミングしている時には、(サイトが)的の一定の範囲を一定のスピードで動いているはずです。サイトの動きが自分の許容するレベルになったときに、(リリーサーを切るための)必要な何らかの動作を起こすことを決断します。押したり、引いたり、あるいはひねったり、絞ったり、祈ったり、指を突っ込んだり、つま先を床に突き刺したり、息を止めたり…それがどんなものであれ、(身体の一部を)ある位置から別の位置に動かそうとする時、その過程で何が起きると思いますか?弓が動いてしまうのです!
 なぜなら(リリーサーを切るために今までとは違う別の)力が加えられることによって、弓を(ゴールドに)保っていたバランスが崩れるからです。アーチャーが(リリーサーを切るために)新たにテンションをかけることによって、弓を保っていた力のバランスに影響が出たのです。そして多くのアーチャーがこの動きを目にすると、いつもより早く動いている、いつもの範囲より大きく動いているので「おや、このままでは10点に当たらないかもしれない」と考えてリリーサーへのエンゲージ(親指で押す、リリーサーを回す、引手を絞るなどの動き)をスローダウンして(サイトを)合わせ直そうとします。   
 サイトを合わせ直したら、サイトの動きが(想定の範囲内、スピードに)落ち着くのを待たなければなりません。サイトが落ち着いたら、「よし、だいじょうぶだ」と思ってリリーサーへのエンゲージを再開するのですが、そうするとまた弓の動きが大きくなります。また、リリーサーを切りに行くのをやめると、サイトが止まりますが、動いては止まる、動いては止まるということを繰り返すことになります。どうですか、こういうのは身に覚えがありませんか?
 もちろんこのやり方でもうまくいくときもあります。しかし、動いたり止まったりを延々と繰り返して堂々巡りになるおそれがあります。動いたり止まったりを繰り返せば繰り返すほど、「機会の窓」はどんどん狭まっていき、リリースに必要な力がどんどん失われて、狙ったところに当てられる確率は急速に失われていきます。こういうことを防ぐために、私はサイトが的につくよりももっと前の段階で、ローディングしながらテンションをかけた状態で弓の抵抗に対抗しながらリリーサーを切るモーションをスタートさせているのです。このやり方をすることによって、私の身体はリリーサーを切るためのテンションをかけながらサイトの動きを安定させることをマスターしているのです。サイトを的に合わせるよりもはるか前に、リリーサーを切るためのテンションが押手側と引手側に分散されてかかっている状態ができ上っているからです。ここで再度念を押しておきますが、私にはこのやり方が合っているということです。
 押し引きのバランスを重視するもっと受け身の射ち方を否定するわけではありません。その人にそのやり方が合っているのなら良いのです。私がここで説明した方法は、他のどの方法よりも私のようなタイプのターゲットパニックには有効だということです。
 私が経験したタイプのターゲットパニックと言いましたが、今活躍しているトップアーチャーで、競技歴の中で何らかの形でターゲットパニックを経験したことがないアーチャーはいないと思います。私が経験したターゲットパニックは、「何も起きない」タイプで、引手をローディングし、リリーサーにエンゲージし、的に向かって押手をドライブする作業を正しい手順で行わないと、サイトが的の真ん中に下りてきた後、サイトが真ん中よりも下について全てが止まってしまいます。(サイトが)6時とか5時とかのゴールドのラインについて動けなくなります。他のタイプのターゲットパニックとしては、サイトが的の真ん中についた時に射とうとするタイプのアーチャーの場合、サイトが的の真ん中についていないと当たらないということを認識しているので、サイトが良い感じの速さで的の真ん中に来た時に「今なら当たる」と思って射ちに行くのですが、それが「予測」や「びびり」、パンチショットなどにつながるというものです。
 私にとっては、サイトが的につくよりも前にリリーサーを切るための力を使い始めるやり方が合っていると言いましたが、それは私のアーチェリーのルーツとも関係があります。私はオリンピックスタイルのリカーブボウでアーチェリーを始めたのですが、リカーブボウでは常に弓の反発力に対抗していなければならないですよね。動きを止めたり、動かしたりしていたら、身動き取れなくなり、的を狙うどころではなくなりますからね。

今回はこの辺で。次回はリカーブからコンパウンドへ転向する際の注意点について解説してくれます。コンパウンドへの転向を考えているリカーブアーチャーの皆さん必見です。


Category: 2021年モデル, PSE, SHIBUYAアーチェリー, SHIBUYAスタディサポート, オンライン講習会, ターゲットパニック講座, 世田谷店, 注目の記事, 海外

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