カルノスタビライザーテクニカルノート③

第三話 ~エクステンダーとサイドロッドは?~
今、売られているスタビライザーの多くは、センターロッド/サイドロッド/エクステンダー
全てに同じカーボンパイプを使用している機種が多いと思います。
でも実際の使われ方を見ると
センターロッドは一番長く、一番振動し、射った時のフィーリングに与える影響が一番強い、先端を地面につく場合もある。
サイドロッドは長さは短く、先にはウェイトしか付かない。
エクステンダーは、Vバー、センター、サイド 全てを支える土台。と、かなり異なります。
そのためカーボンパイプも同じ物ではなくそれぞれに適した専用のものを使いたいと考えました。
センターロッドは (第二話の繰り返しになります)長いので強さが必要、振動を逃がすことも必要、
それを満たした上で軽く。
サイドロッドは 短いし地面につくこともないので強さはセンターロッドほどは必要無い、軽さと振動を逃がす性能は必要。
エクステンダーは スタビ全体の基部になるので強さが重要、曲げに対してももちろん強く、ねじりに対しても強くないとサイドロッドがバタバタしてしまう。
こんな性能のカーボンパイプをそれぞれのロッドに使うのが理想だろうと思いました。
またエクステンダーはカーボンパイプの強さだけではなく、ブッシングも含めた全体の結合力を高める必要があります。
現行のSSスタビライザーにも使われている、両端のブッシングをカーボンパイプの中でアルミ合金製コネクティングロッドで連結する「DirectLink」構造を新しいスタビでも採用することとしました。

軽く硬いのコンセプトに合うよう、設計を大幅に見直し、より軽く、よりストレスが集まり易いところがなくなるように改良することにしました。
これで大まかな製品の“仕様”が固まりました。
試作に必要な詳細な設計図を描くことが出来ます。
そしてカーボンのパイプは、専用の設備を持った専門メーカーでないと作れません、
今回、厚さを途中で可変したり、センター/サイド/エクステンダーそれぞれに専用のパイプを用意したり、
軽さが求められたりといくつも新しいことを盛り込みます。それらに対応出来るメーカーを新たに探さないとなりません。
出来上がった設計図を持って、日本全国の中から探し出した5社のメーカーに実際に行ってみて話をしました。
日本はものを作るにはとても良い国で、こういった特殊な加工の専門メーカーでも探せば何社もあります。
その中から、アーチェリーに必要な性能・品質を実現してもらえるメーカーを探します。
そしてようやくこちらの要望に答えて頂けそうな会社を見つけることが出来ました!
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第三話のものすごく短いまとめ
◇センター/サイド/エクステンダーそれぞれに適した専用のパイプを使う。
◇さらにエクステンダーは内部をアルミのロッドで接続し強化!
◇高性能なカーボンパイプを作れる専門メーカーの発掘。
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〔次回 第四話~試作とテストはどうやるの?~ に続く。〕