コンパウンドボウとは?
コンパウンドボウというと「歳を取ってから始める弓」というイメージがあるかもしれませんが、世界的には若い世代から始める人が多く、50mラウンド718点の世界記録保持者のブレイデン・ギャレンティン選手が初めてコンパウンドの世界選手権のアメリカ代表になった時には16歳でした。国内では大学生の日本一を決めるインカレでコンパウンド部門がようやく定着してきた感じですが、ジュニアやキャデット世代の世界選手権でも採用されている種目なので、もっともっと若い人たちにコンパウンドボウに興味を持ってもらいたいものです。
カム(偏芯滑車)の効果で「引き切ると弓の抵抗が軽くなって楽に引ける」というのが、コンパウンドボウと聞いて最初に思いつく特徴かもしれません。最近の競技用のコンパウンドボウはフルドロー時、ピークウエイトの20~30パーセント程度の強さに軽減されるので、例えばWAのルール上限の60ポンドの弓を引いたとすると、12~18ポンドの力でホールディングできます。身体的な負荷が軽くなるので、コンパウンドボウ=楽に引ける弓というイメージかもしれませんね。「楽に引ける」ということで、リカーブが引けない人がやるものというようなネガティブなとらえ方をされている気もしますが、コンパウンドボウも弓をドローイングして伸び合いながらエイミングしてリリースするという点では、リカーブボウと同じです。どちらもアーチェリー的な楽しさと難しさが体験できます。ターゲットのマッチ戦ではトータルスコアの勝負なので、1本も気を抜けないドキドキ感が味わえ、競技性も高いのです。
コンパウンドボウとリカーブボウの違い
コンパウンドボウとリカーブボウの違いについて見てみましょう。道具としてみたときにリカーブボウと大きく異なる点は①カム ②リリーサー ③ピープサイトの3つが挙げられます。
- カム:リムの両端に取り付けられた偏芯滑車
- カムの効果により、フルドローするとピークウエイトの30パーセントくらいの力でホールディングできる→エイミング、リリースの時間帯の負荷が少ない。
- カムの設定により引き尺が決まる(設定した引き尺でカムの回転が止まってそれ以上引けなくなる)ので、再現性の高いフォームが組み立てられる。
- リリーサー:弓を引くときに使用する発射装置。
- リリーサーを使用するのでリリース時にストリングが蛇行しないでまっすぐに出ていくのでチューニングが簡単。
- リリーサーの使用により機械的に発射可能。リリースを失敗することがない。
- ピープサイト:ストリングに取り付けて使用する覗き穴
- ピープサイトとスコープサイトの2点照準が可能なので、エイミングの精度が高い。
- ピープサイトを見ることによりアンカーの再現性が高い
コンパウンドボウのすすめ
「楽に引ける」というアドバンテージを考えると、大学生や高校生の時のように週に数回定期的に練習できるわけではない社会人アーチャーにとっては、身体的負荷が少ないコンパウンドボウは魅力的ではないでしょうか。リカーブボウでは練習の間が開いた時に、まず弓が引きこなせるかどうかの戦いが待っていますが、コンパウンドボウでは直ちに的に当てるための戦いができます。またコンパウンドボウはただ単に楽に引けるだけでなく、リリーサーやピープサイトの使用が認められているので、より精度の高い射が可能になります。アーチェリーはメンタルなスポーツといわれますが、コンパウンドボウはカムやリリーサーなど、リカーブボウよりも道具の要素が大きい部分もあり、よりメンタルなスポーツと言えるかもしれません。競技の特性や自分の体格に合わせた弓を選ぶことにより、限られた練習時間でもハイスコアを目指すことが可能なのです。世界選手権やインドアワールドシリーズなど、国際大会を目指すことも夢ではありません。 でもコンパウンドボウはストリングが多いし、機械的で調整が難しそう…と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、そんな時に頼れるのがプロショップです。自分に合った弓選びからセッティング、射ち方のアドバイスまでコンパウンドを始めるのに必要なことはプロショップに任せて、思い切って一歩踏み出してみては。
こんな人は転向したほうが良いチェックリスト(2個以上当てはまったらすぐにコンパウンドに転向しましょう)
- 2週間ぶりに弓を引いたらクリッカーが落ちなかった。
- 練習の初めは調子が良いが、1時間もすると押手が負けてくる。
- ショートハーフの試合でベアボウに負けたことがある。
- 学生の時のスコアが出せなくなって久しい…
- メカっぽいものが好き
- パーフェクトを射ってみたい!
- ベガスシュートに行きたい!