アルティマⅡRCサイトテクニカルノート④ ~使ってみよう!アルティマⅡ~

ブログをご覧の皆さん、こんにちは!

渋谷アーチェリー製造部門担当の梅澤です。

アルティマⅡRCサイトテクニカルノートの第一話~第三話はお読み頂けましたか?まだお読みで無い方は是非、下記リンクをクリックして頂き、今までの記事も読んでみてくださいね。

【アルティマⅡRCサイトテクニカルノート① ~新しいサイトを作った訳は?~】
【アルティマⅡRCサイトテクニカルノート② ~サイトの重さとバランスって?~】
【アルティマⅡRCサイトテクニカルノート③ ~仕組みとボリュームダウン~】

さて、これまでは主に軽量化についてお話をさせていただきましたが、アルティマⅡRCサイトは軽量化以外にも様々な改良が施されています。最終回の第四話では、使い方も交えて、主な改良点について紹介していきます。

■ウィンデージの目盛り
写真左の現行アルティマRCサイトでは、書き込み可能な白いテープが貼ってあり、ご自身で左右の位置をマーキングして頂く方式でした。写真右のアルティマⅡRCサイトでは、レーザーマーキングされた白い目盛りが入っています。

ウィンデージダイヤル1回転で目盛り一つ分(1/32インチ≒0.8mm)動きます。目盛りの中央の一番長いラインが左右に動かせる幅のセンター位置になります。ウィンデージのダイヤルを回し、センター位置に目盛りを合わせた状態でサイトピン自体を出し入れして、サイトピンの左右位置を決めて頂くと、左右に同じだけ調整の幅を作ることが出来ます。

■ノブとダイヤルの滑り止め
マウントのノブやエレベーション/ウィンデージのダイヤルには、ギュッときつく握らなくてもグリップが得られるよう、滑り止めの加工がされています。これを「ローレット」と呼んでいます。

左の現行アルティマRCサイトのローレットは、「綾目ローレット」という物で、菱形の凸がビッシリ並んでいます。これも必要なグリップ力はあり、悪くはないのですが、つかんだ時の感触がちょっと荒い(ゴツイ)感じでした。右のアルティマⅡRCサイトでは正方形の目が並んだ「クロスローレット」になっています。ゴツイ感触を無くしつつ、しっかりしたグリップが得られ、且つ見た目もスッキリするよう目を細かくし、一つ一つの四角いピラミッド状の山の形に工夫を凝らしています。

■サイトピン固定部の改良
現行アルティマRCサイト(写真上)ではサイトピンをロックするネジの奥にあるパーツ(サイトピンストッパー)は、ネジ穴がサイトピンまで貫通しています。アルティマⅡRCサイト(写真下)では、この部分がサイトピンまでつながっていません。


※矢印部分。見比べると、上の写真はネジ穴の奥に黒いサイトピンが見えますが、下の写真は貫通していないのがお分かりいただけると思います。

またネジと組み合わせるワッシャーは、現行アルティマRCでは平たい薄い物(写真左)でしたが、アルティマⅡRCサイトでは厚みのあるテーパー形状(写真右)になっています。

現行のアルティマRCサイトでは長く使用して頂いている間に、サイトピンをロックするネジを何度も締め込んでいくと、稀にワッシャーが凹んできて、ネジの先端がサイトピンまで届いてしまい、サイトピンが噛みこまれてしまうことがありました。修理は可能ですが、より信頼性を高めるため、アルティマⅡRCサイトでは変形しないぶ厚いワッシャー+貫通していないネジ穴を採用しています。

さらに、サイトピン交換時に現行アルティマRCサイトでは、このサイトピンストッパーがくるくる回転してしまい、サイトピンを通し辛く感じられた方もいらっしゃったと思います。しかし、アルティマⅡRCサイトでは回転しないように改良されているので、サイトピンの交換も、より容易になりました。

■シールのデザイン変更
マウントノブのシールは、大きさと形状はそのままに高級感のあるカーボン調のブラックに、色やデザインを見直しました。

エクステンションのシールは商品名を表示している、大事な部分になります。現行アルティマRCサイトでは透明な基材に金の文字でしたが、アルティマⅡではよりクッキリとさせるため、見る角度で色調が変化するホログラム基材に「ULTIMA」を抜き文字で印刷しています。

■X-LOCKシステムに使用している接着剤をより最適なものに変更
エレベーションバーとサイトブロックのガタツキを無くし、ピッタリ且つスムーズな動作を実現するための、アルティマサイトのコア技術ともなっているX-LOCKですが、動きの調子を取るネジを固定するために接着剤を使用しています。時が経ち、現行アルティマRCサイトを開発した当時に選択した接着剤よりも、X-LOCKに適したものを選べるようになり、固着力や固着力の持続性が良くなっていて、使い始めの状態がより長く保たれるよう改善されています。(この改善は現在の現行アルティマRCサイトやアルティマCPXサイトにも行われています。)
※ご注意:この部分のネジは、いじってしまうことで固着力が弱まってしまう可能性があります。
 特に問題がない場合、ご自身での調整は行わないことをオススメします。

他にも細かい改善点はあり、全てご紹介出来ないのは残念なのですが、アーチャーの方々の使い易さに直接関係するところを書かせて頂きました。

~カーボンエクステンションについて~

さてここで、反対に、現行アルティマサイトから踏襲している部分を紹介させていただきます。

SHIBUYAのサイトは、軽く、強さもあり、振動減衰にも優れるカーボン素材を早い時期から採用しています。現行のアルティマRCサイトと同様に、アルティマⅡRCサイトにも組み込まれているカーボンエクステンションは、「プルトリュージョン」という製法で作られています。

成型方法 プルトリュージョン法(TORAYホームページへ)

何本ものカーボン繊維が、バインダーとなる接着剤の層を通った後に、エクステンションの断面の形をした金型の口の中に入っていき形状が作られ、その後、炉の中を通り固まって成型されます。
この製法では

・バインダーの割合が少なくて済む=カーボン繊維の割合が高い
・全長に渡ってカーボン繊維がつながっている状態に出来る

など、高強度化/軽量化するにあたって多くのメリットがあります。
繊維が途切れなくつながっている方が強度に対しては有利なので、穴を空ける加工などは施していません。

今回アルティマⅡRCサイトを作るにあたって、このカーボンエクステンションのアドバンテージは、10年経った現在でも有効と考え、継続して使用することにしました。
※アルティマⅡRCサイトにはアルミエクステンションのモデル(スタンダードサイト)もございます。
※中空カーボンエクステンションの製法は全く異なります。

ここまで読んで頂いた皆さん、本当にありがとうございます!まだお伝えしたいことは山ほどあるのですが、発売日も明日に迫っていますので、このテクニカルノートもここまでにしたいと思います。つたない文章で分かり難いところや疑問もあったかと思います。ご容赦下さい。

アルティマⅡRCサイトは、明日2月25日(土)より全国のプロショップにて発売になります。現行のアルティマRCサイトをお使いの方もそうでない方も、是非一度、お手にとってご覧頂けたらと思います。もちろん渋谷アーチェリーONLINEの商品ページにも詳しく紹介されますのでご覧下さい。

弓具を通じてアーチャーの皆さんの一助となれれば幸いです。

アルティマⅡRCサイトの商品ページはこちら↓↓↓
【SHIBUYA アルティマⅡRC<リカーブ>485 カーボンサイト】
【SHIBUYA アルティマⅡRC<リカーブ>485 中空カーボンエクステンションサイト】
【SHIBUYA アルティマⅡRC<リカーブ>485 スタンダードサイト】
※ONLINE店では2月24日(金)19時よりご注文が可能です。