～マシューズ 2025年モデルに搭載、リムシフト テクノロジーとは？

投稿：2024年12月26日

　昨年リリースされるや否やインドアのメジャー大会で華々しい好成績を残し注目を集めた、マシューズのターゲット競技用コンパウンドボウのフラッグシップモデル【TITLE】が、2025年モデルとしてバージョンアップして登場しました。カムやハンドルデザインは変更はありませんが、新たに開発されたマシューズ独自の【リムシフト テクノロジー】を搭載し、よりチューニングしやすくなっています。

リムシフトテクノロジー
　特許取得のリムシフトテクノロジー（LST）は、カムの左右の位置を変えたり、傾きを変えたりする代わりにリムを左右にシフトしてカムとリムの間隔を微調整することが可能なマシューズ独自の機構です。六角レンチで簡単に自分の射ち方（グリップのトルクのかけ方）に合わせて調整できます。ロックネジを外して、六角レンチで無段階で微調整することができます。従来のトップハット システム（スペーサー交換式）と異なりボウプレスは必要ないので、実射しながら簡単にチューニングできます。

ペーパーチューニングで効果を発揮
　チューニングとは、弓のベストの状態に持っていくことと勘違いされている方もいらっしゃるかもしれませんが、チューニングとは最もグルーピングが小さくなるように、自分の射ち方に合わせていくことなのです。すなわち自分の射ち方の傾向（どういうミスをしやすいか）に合わせて、それを補うように弓を調和させることです。あるトップアーチーによると、箱から出したコンパウンドボウにレストを付けてシューティングマシンにかけて射つと、18mで毎回同じところに矢が刺さるとのこと。現代の弓は何もしなくてもそのくらい精度が高いツールなので、外れるのは人間の問題なのですね。

　コンパウンドでミスショットにつながる一番の問題は、グリップにかかるトルクと言えるのではないでしょうか。フルドローした時にはコンパウンドの強さは10～20ポンドまで弱くなるので、グリップした手に余計な力が入ると、簡単に弓にトルクがかかって弓の向きが変わってしまいます。弓を上から見た弓を上から見た時に、時計回り、反時計回りに回転させる力のことです。このトルクのかかり方により、左右のミスショットが出るのです。

　トルクのかけ方に対して、矢がまっすぐ弓から発射されるようにチューニングするのが、コンパウンドのチューニングの第一歩だと思います。いわゆる【ペーパーチューニング】とよばれるもので、至近距離から紙を射ち抜いて、裂け方を見て矢飛びをチェックして調整するチューニング法です。下の図のように、ペーパーの裂け方に合わせてリムをシフトさせることで簡単にチューニングが可能です。


　下の写真は世田谷店の試射用モデルを実際に射ってみて、【ペーパーチューニング】したものです。出荷時の状態で射ったものが上の写真です。ノックが左に向いており左向きに裂けた状態です。この場合は、【リムシフトテクノロジー】でリムを右にシフトすると、トルクの影響が補正されます。
　下の写真がペーパーを矢がまっすぐ通過している状態で、横にあるのがその時のリムのポジションの写真です。カムとリムの間にかなり隙間が空いたのがわかりますね。

　従来のコンパウンドボウはペーパーチューニングを行う場合、以下の三つの方法で行っていました。
　●ヨークのバランスを変えてカムを傾ける。
　●リムポケットを傾けてカムのポジションをずらす。
　●シム（カムとリムの隙間を埋めるスペーサー）の配列を変えてカムのポジションを左右にずらす。

　カムを傾ける、リムポケットを傾ける方法では、極端に調整するとカムの溝の側面にストリングやケーブルのサービングが擦れて、サービングが擦り切れるなどの問題が出る可能性がありました。また、シムを入れ替えてカムのポジションを変えるには、カム軸とカムをリムから外す必要があり、ボウプレスを使った大掛かりな作業になってしまうというわずらわしさがありました*。　

　この方式の最大の特徴は、単に簡単で精確にチューニングできるというだけでなく、センターショットが変わらないまま、トルクの補正ができるという点です。レストでチューニングすればよいと思われるかもしれませんが、レスト（ランチャーブレード）の左右調整は、カムの傾きやポジションの調整ほど効果が大きくないため、動かす幅が大きくなりがちです。レストの位置がセンターショットの位置から1/8インチ以上左右どちらかにずれてしまうと、弓を押している方向と矢が出て行く方向の感覚的なずれが大きくなり、ペーパーチューニング後の本格的なチューニングがやりづらくなる恐れがあります。

　画期的なチューニングシステム【リムシフトテクノロジー】を搭載した【マシューズTITLE38】と【TITLE40】は、世田谷店でテストシュート可能です。テストシュートのご予約・ご注文は世田谷店まで！WEBからもご予約いただけます。