~矢のデザインとパフォーマンスーX10プロツアーシャフトについて

投稿:2022年2月22日

 みなさんこんにちは、渋谷アーチェリー世田谷店です。今回は元イーストンの主席エンジニアのジョージ・テクミチョフ氏による、X10プロツアーの解説を紹介します。

ジョージ・テクミチョフ氏

テーパーシャフトというアイデア

 テーパーデザインのシャフトというのは、実は何千年も前からあります。古代のアーチャーは矢の後端をテーパーに絞ることで、矢のパフォーマンスが向上することを知っていたのです。(後端が)テーパー形状の矢は空気抵抗が若干小さくなり、同じ重さの矢で比較した場合、パラレルデザインの矢よりも前重心になります。フィンガーリリースのアーチャーにとって最も重要なことは、適切にデザインされた後端がテーパーデザインの矢は、アーチャーのリリースの微妙なばらつきを拾いにくくなるという点です。おそらく古代の人々はテーパー形状の物理的な優位性を理解していなかったと思われるにもかかわらず、昔からほとんどすべての文明でテーパーデザインの矢が使われていた例や遺物が見つかっています。それだけテーパーシャフトのアドバンテージは際立ったものだったのです。

現代のテーパーシャフト~X10プロツアー

 現代では、イーストンX10プロツアーという、古代のテーパーシャフトとは逆のテーパー形状のテーパーシャフトがあります。空気力学特性に優れた細い先端、全体的に細いシルエットとより硬いスパインの後端部分をもった現代のテーパーシャフトは、リリーサーを使用するコンパウンドから発射される際に適しており、ダウンレンジでのパフォーマンスもパラレルデザインのシャフトよりも優れています。20年前にX10プロツアーが発売されて以来、コンパウンドボウのほとんど全ての世界記録がX10プロツアーによって塗り替えられ、ほとんどのメダリストによって使用されているという点から、X10プロツアーのテーパーデザインの優位性は実証済みです。

 アドバンテージが多いテーパーシャフトですが、マイナス面もいくつかあります。その最大のマイナス面は、テーパーシャフトは高い均一性を保つために製造コストが上昇するという点で、パラレルデザインのシャフトに比べると値段が高くなってしまいます。テーパーデザインのシャフトを作ること自体は難しくないのですが、スパインやシャフトのまっすぐさを高いレベルで均一にそろえたテーパーシャフトを作ることは技術的に難しく、コストも高くつくのです。均一性を維持するという部分にかかるコストが、テーパーシャフトがパラレルデザインのシャフトとの値段の差になっています。

究極のコンパウンドボウ用アローシャフト【X10プロツアー】

 結論としては、先端が細くなったテーパーシャフトは、リリーサーを使用して射つコンパウンドボウで究極のパフォーマンスを発揮するアローシャフトということです。フィンガーリリースのリカーブボウの場合は後端が細くなったテーパー形状の恩恵は大きく、リリースの微妙なばらつきを拾いにくくなるだけでなく、軽くなった後端部分は弓を通過する際のクリアランスも向上しますが、コンパウンドボウではシャフトの後端の柔軟性は必要ありません。

テーパーシャフトが登場する前 

 興味深いのは、テーパーデザインのX10プロツアーが世に出る前は、コンパウンドのトップシューターたちはリカーブ用のX10シャフトの後端のテーパー部分を全部、もしくはほぼ切り落とした状態の矢を使用していたのです。そんなトップシューターたちの中でも、レオ・ワイルド選手はノックエンド側を切り詰めて現在のプロツアーのような形状にしたX10を使用して、数々の世界記録を更新し、世界タイタイトルを手にしてきました。X10プロツアーシャフトは彼のようなトップシューターの経験をもとに開発されたとも言えます。

 以上テクミチョフ氏の解説でした。究極のコンパウンドボウ用アロー、EASTON X10プロツアーが、今なら渋谷アーチェリー世田谷店でお買い得価格でゲットできます。2月27日まで完成矢セール開催中です。