~X10アローの秘密
投稿:2022年11月26日国際大会でも最も多くメダル獲得や新記録の樹立に貢献している【イーストンX10アロー】。その強さの秘密はイーストン独自の「樽型構造」。アローシャフトの中心部が太く、両端が細くなっている「樽型」にすることで、細くて硬いシャフトを作ることが可能になるとともに、リリース時の適度なしなりを生み出すことができます。【イーストンX10アロー】では特に長距離でのパフォーマンスを重視して、一般的なカーボンシャフトよりもさらに細い外径と適度な重さの組み合わせを追求しています。
70mで勝つために開発されたアローシャフト
【イーストンX10アロー】シャフトの開発コンセプトは、ただひとつ「70m競技で勝つため」です。長距離では風に矢が流される量が大きくなりますが、シャフトの外径が細いほど横風を受ける面積が小さくなり、風の影響を最小限に抑えられます。一般的にスパインが硬くなると矢の外径は太くなっていきますが、樽型にすることでより細く硬いスパインのシャフトを作ることが可能になります。
そして、【イーストンX10アロー】はただ単に風を受ける面積を小さくしたというだけでなく、適度な重さにすることによって70mでより優位なシャフトになっています。実は軽くてスピードが速いカーボンアローも、70mという長い距離を飛ぶとエネルギーを急速に失い風など外的要因の影響を受けやすくなります。矢は的まで放物線を描いて飛んで行きますが、的前では矢は的に向かって下降していく(ダウンレンジ)段階にあり、発射の際に弓から伝わった推進エネルギーがどれだけ残っているかが風などの外的要因の影響を左右するのです。
【イーストンX10アロー】はダウンレンジでのスピードの保存のために、極小口径の樽型形状と適度なシャフト重量の組み合わせを追求しました。シャフトの外径を極小口径にするよって、同等口径のパラレルシャフトよりも断面荷重が大きくなり、長距離を飛んだ時のエネルギーの残存性が高くなる効果があるのです。
樽型のアドバンテージ
樽型形状にすることのもう一つのアドバンテージは、リリース時にアローレストをクリアするのに必要な適度なしなりを生み出すという点です。リリースの際に矢がしなることで、シャフトが弓を通過する際にアローレストやプランジャーと接触しないでクリーンに飛び出すことが可能になっているのです。【イーストンX10】や【イーストンA/C/E】のような樽型形状のはシャフトは、前後が均等に細くなっていくのではなく、下の図のようにポイント側が太く、ノック側が細くなっています。
シャフトの前側が重く硬く、ノック側がより軟らかく軽い構造によって、リリース時に矢がストリングに押し出される際にシャフトが適度なしなりが生み出されます。そして【イーストンX10】ではスパインごとにシャフトのしなり方を最適化した樽型形状となっており、矢がレストやプランジャーを通過する際のクリアランスが確保されるだけでなく、リリースの微妙な違いの影響を受けにくくなっています。
プレミアムクオリティー
競技用アローシャフトで重要なのは「均一性」です。1ダースのパッケージの中の12本の矢が均一であることが、より小さなグルーピングを出すためには欠かせません。まっすぐさや重量などシャフトを構成するいろいろな要素の中でも、「スパイン」がフィンガーリリースするリカーブアーチャーにとって最も致命的な要素と言えます。
スパインというのは矢の硬さのことで、一定の荷重をかけた時にシャフトがどのくらいしなるかで数値化されます。29インチのシャフトを28インチ間隔でシャフトを支えて、その中心に880グラムの荷重をかけた時にシャフトがしなる量(インチ)で表します。例えば500番のシャフトは0.5インチしなる硬さであるということです。これがカタログやシャフトサイズ選択チャート(スパイン表)に出ている数値で、スタティック スパイン(静的スパイン)と呼ばれています。
実際に弓から発射される際には、矢に対してノック側から荷重がかかります。この時のシャフトのしなり方をダイナミックスパイン(動的スパイン)と呼びます。シャフト1本、1本のスパインが均一でないと、矢が押し出される時のしなり方がシャフトごとに変化してしまうため矢飛びはバラバラになり、グルーピングが広がってしまいます。
【イーストンX10】はもちろん、イーストン社製の競技用カーボン製アローシャフトは厳選された素材のみを使用して最先端の製造技術で製造されています。シャフトの360度どの方向でもスパインが均一、同一モデルの同一サイズのシャフトは全て均一なスパインであることが保証されています。また数年前に購入したX10の500番のシャフトは今年購入したX10の500番と同じスパイン、同じ精度で同じようにグルーピングします。イーストン社は厳選されたカーボン素材を世界でもトップクラスのカーボン繊維メーカーから直接仕入れ、供給された素材が基準を満たしているか常に検査し続けることによって、シャフトの素材となるカーボン繊維の弾性率のばらつきを最小限に抑えています。
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